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健康診断の心電図 不整脈所見とその意味 専門家解説

Tags: 健康診断, 心電図, 不整脈, 循環器内科, 精密検査

健康診断の心電図で不整脈を指摘されたら?所見の意味と次にすべきこと

健康診断で行われる心電図検査は、心臓の電気的な活動を記録し、心臓のリズムや波形に異常がないかを調べる検査です。この検査で「不整脈」に関する所見が指摘されることがあります。「不整脈」と聞くと不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、不整脈には様々な種類があり、その全てが治療を必要とする病気を示すわけではありません。

この記事では、健康診断で見つかりやすい不整脈の所見について、その基本的な意味や、指摘された場合に次にどのようなステップを考えるべきかについて、専門家の視点から解説いたします。

心電図検査で「不整脈」が意味すること

まず、心電図検査で記録される波形が何を示しているのかを簡単に解説します。心臓は、洞結節という部分から規則的に発生する電気信号によって動いています。この電気信号が心臓全体に伝わることで、心臓の筋肉が収縮・弛緩し、血液を全身に送り出しています。心電図は、この電気信号の流れを体表面から拾い上げ、波形として記録したものです。

「不整脈」とは、この心臓の電気的な活動に異常が生じ、脈拍のリズムが乱れる状態全般を指します。具体的には、

といった状態が含まれます。心電図検査は、検査を受けているその瞬間の心臓の電気的活動を記録するため、不整脈の有無や種類を知る手がかりとなります。

健康診断で見つかりやすい主な不整脈所見

健康診断の心電図で比較的よく指摘される不整脈所見には、以下のようなものがあります。それぞれの所見が持つ意味合いは異なります。

期外収縮

心臓が正常な電気信号以外の場所から、本来のリズムより早く発生する電気信号によって収縮してしまう状態です。心房で起きれば「心房性期外収縮」、心室で起きれば「心室性期外収縮」と呼ばれます。

徐脈

脈拍数が安静時に1分間に50回未満の状態を指します。

頻脈

脈拍数が安静時に1分間に100回以上の状態を指します。

ブロック

心臓内の電気信号の通り道(刺激伝導系)のどこかで電気信号の流れが滞ったり、途絶えたりする状態です。「房室ブロック」「脚ブロック」など、信号がブロックされる場所によって分類されます。

不整脈所見を指摘されたら次にすべきこと

健康診断で不整脈に関する所見が指摘された場合、その重要度に応じて「異常なし」「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」などの判定が示されます。

精密検査では何が行われるか

精密検査では、健康診断で行われた安静時心電図だけでは捉えきれない不整脈の状態を把握するために、以下のような検査が行われることがあります。

これらの検査の結果と、自覚症状(動悸、息切れ、めまい、失神など)の有無、既往歴などを総合的に判断し、不整脈のタイプ、重症度、治療の必要性が診断されます。

日常生活での注意点

不整脈の種類や原因によっては、日常生活の見直しが有効な場合があります。医師と相談の上、以下のような点に注意することが推奨されます。

まとめ

健康診断で心電図の不整脈所見を指摘された場合、まずはその所見が具体的にどのような不整脈を示しているのかを理解することが重要です。不整脈には生理的なものから、精査や治療が必要なものまで様々な種類があります。

判定が「要再検査」や「要精密検査」であった場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診し、循環器内科の専門医にご相談ください。詳しい検査によって不整脈の性質が明らかになり、適切な管理や治療へとつながります。

定期的な健康診断は、自覚症状がない段階で体の変化に気づくための重要な機会です。結果を正しく理解し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることで、安心して日々の健康管理に取り組んでいただければ幸いです。