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健康診断の血清鉄とフェリチン検査 基準値・意味・貧血との関連性 専門家解説

Tags: 血清鉄, フェリチン, 貧血, 鉄欠乏性貧血, 血液検査, 健康診断

健康診断の血液検査項目には多くの種類があり、それぞれが体の状態を示す重要な指標となります。その中でも、血清鉄とフェリチンは、体内の鉄分の状態を知る上で非常に重要な項目です。今回は、これらの検査項目が何を示しているのか、基準値や異常値の意味、そして特に気になる貧血との関連性について、専門家の視点から解説します。

血清鉄とフェリチンとは? それぞれ何を示しているのですか?

健康診断で測定される血清鉄とフェリチンは、どちらも体内の鉄分に関連する項目ですが、示している状態が異なります。

分かりやすく例えるなら、血清鉄は「いま血液に乗って運ばれている鉄」、フェリチンは「倉庫にストックされている鉄」のようなイメージです。

基準値はどのくらいですか? 基準値から外れるとどういう意味ですか?

血清鉄とフェリチンの基準値は、検査機関や測定方法によって多少異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

これらの基準値から外れる場合は、体内の鉄代謝に何らかの異常がある可能性が考えられます。

血清鉄・フェリチンが基準値より低い場合

血清鉄・フェリチンが基準値より高い場合

血清鉄やフェリチンの異常は、具体的にどのような病気や状態と関連がありますか?

血清鉄やフェリチンの異常値は、様々な状態を示唆する可能性があります。

低値の場合に関連する主な状態

高値の場合に関連する主な状態

健康診断で異常値を指摘された場合、どうすれば良いですか?

健康診断で血清鉄やフェリチンに異常値が見られた場合、「要再検査」や「要精密検査」の指示があるかと思います。ご自身で情報を調べることも大切ですが、これらの数値異常が示す可能性は多岐にわたるため、必ず医療機関を受診し、専門家である医師の診断を受けるようにしてください。

医療機関受診時のポイント

医療機関で行われる可能性のある検査

医師は、血清鉄・フェリチン以外の血液検査項目(ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV、MCH、白血球、血小板、CRP、肝機能など)や問診、診察の結果を総合して、異常値の原因を探ります。必要に応じて以下のような追加検査が行われることがあります。

日常生活でできることはありますか?

健康診断で異常値が指摘された場合、まずは医療機関を受診し、診断に基づいた対応をすることが最も重要です。自己判断での食事制限やサプリメント摂取は、かえって状態を悪化させたり、正確な診断を妨げたりする可能性があるため、避けるべきです。

まとめ

健康診断の血清鉄とフェリチン検査は、体内の鉄分状態、特に貯蔵鉄の量を評価する上で非常に有用な指標です。これらの数値の異常は、鉄欠乏性貧血をはじめ、鉄過剰症や炎症、肝疾患など様々な状態を示唆する可能性があります。

知的好奇心からご自身で調べられることは素晴らしいですが、複雑な要因が絡み合うことも多いため、健康診断で異常値を指摘された際には、安易な自己判断はせず、必ず医療機関を受診し、専門家である医師にご相談ください。適切な診断とアドバイスを受けることが、ご自身の健康を守るための最も確実なステップとなります。