専門家が答える健康診断Q&A

健康診断の頸動脈エコー 動脈硬化の評価と専門家解説

Tags: 頸動脈超音波, 頸動脈エコー, 動脈硬化, 健康診断, 血管年齢

頸動脈超音波検査とは?健康診断・人間ドックでの重要性

健康診断や人間ドックで、近年多くの施設で導入されている検査項目の一つに「頸動脈超音波(エコー)検査」があります。この検査は、首にある頸動脈という比較的体表に近い血管を、超音波を使って調べるものです。

なぜこの頸動脈が健康診断で重要視されるのでしょうか。それは、頸動脈が全身の動脈硬化の程度を反映しやすい血管の一つと考えられているからです。特に脳に血液を送る重要な血管であり、この血管に動脈硬化が進むと、脳梗塞などの重篤な病気を引き起こすリスクが高まります。

頸動脈超音波検査は、非侵襲的(体を傷つけない)で比較的短時間に行えるため、健康診断や人間ドックにおいて、将来的な脳心血管疾患のリスクを評価する有用な手段として広く行われています。

頸動脈エコー検査で何がわかるのか?専門的な見方

頸動脈超音波検査では、主に以下の点を評価します。

これらの情報から、受診者の全身の動脈硬化の程度や進行度、将来的な脳梗塞などのリスクを推測することができます。

頸動脈エコーで異常を指摘された場合:評価と次のステップ

健康診断や人間ドックで頸動脈超音波検査により「要経過観察」や「要精密検査」といった判定を受けた場合、多くは血管の壁の肥厚(IMTの増加)やプラークの存在が認められたことを意味します。

このような所見があったとしても、過度に心配する必要はありませんが、専門医に相談し、より詳しい評価を受けることが推奨されます。医療機関では、健康診断の結果に加え、以下の点を含めた総合的な評価が行われます。

これらの結果を総合的に判断し、動脈硬化の進行度や将来的な心血管イベント(脳梗塞や心筋梗塞など)のリスクを具体的に評価します。その上で、リスクが高いと判断された場合には、生活習慣の改善指導(食事、運動、禁煙など)や、必要に応じた薬物療法(コレステロールを下げる薬、血圧を下げる薬、血小板の働きを抑える薬など)が検討されます。

頸動脈エコーの結果を活かすために

頸動脈超音波検査の結果は、現在の血管の状態を知る上で非常に有用な情報です。もし異常が指摘された場合は、放置せずに医療機関を受診し、専門家の指導のもと、ご自身の動脈硬化リスクを正しく理解し、適切な管理を行うことが重要です。

検査結果が良好だった場合でも、安心せずに健康的な生活習慣を維持することが、将来の動脈硬化予防につながります。定期的な健康診断や人間ドックを受け、ご自身の体の状態を継続的に把握していくことをお勧めします。