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健康診断のBMI 基準値、高値・低値のリスクと対策 専門家解説

Tags: 健康診断, BMI, 肥満, 低体重, 生活習慣病

健康診断のBMIとは? なぜ重要なのでしょうか?

健康診断の結果項目で「BMI」という文字をご覧になる方は多いかと思います。BMIはBody Mass Index(体格指数)の略称であり、体重と身長の関係から計算される、人の肥満度を示す国際的な指標です。計算式は至ってシンプルですが、この数値は単なる体格を示すだけでなく、様々な健康リスクとの関連が指摘されており、健康状態を把握する上で非常に重要な指標の一つとされています。

健康診断でBMIを測定するのは、特定の病気にかかるリスクが、その人の体格と密接に関わっていることが明らかになっているためです。特に肥満は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病をはじめとする多くの疾患の発症リスクを高めることが知られています。一方で、痩せすぎ(低体重)もまた、免疫力の低下や栄養不足による様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

このように、BMIはご自身の健康状態を客観的に評価する上で、最初の入口となる指標の一つです。

BMIの計算方法と基準値について

BMIは以下の簡単な計算式で求められます。

BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)

例えば、身長170cm(1.70m)、体重65kgの方の場合、 BMI = 65 ÷ 1.70 ÷ 1.70 ≒ 22.49 となります。

日本肥満学会が定めている成人におけるBMIの判定基準は以下の通りです。

統計的に最も病気にかかりにくいとされるBMIの数値は「22」とされており、これを「標準体重」または「理想体重」と呼ぶことがあります。これはあくまで統計的な指標であり、個人の体質や筋肉量などによって最適な体格は異なりますが、一つの目安として重要です。

健康診断でBMI高値(肥満)を指摘されたら? その意味とリスク

健康診断でBMIが25以上、特に肥満度I以上と判定された場合、それは体が脂肪を過剰に蓄えている可能性を示唆しています。単に体重が重いというだけでなく、以下のような様々な健康リスクが高まるサインとして捉える必要があります。

BMI高値が関連する主な健康リスク

BMIが高いほど、これらの疾患を発症するリスクは一般的に高まります。特に、BMIが高くかつ腹囲が大きい「内臓脂肪型肥満」は、メタボリックシンドロームの診断基準の一つでもあり、生活習慣病のリスクがさらに高くなることが知られています。BMIは全身の体格を示す指標ですが、腹囲測定は内臓脂肪の蓄積度合いを推測するのに役立ちます。

健康診断でBMI低値(低体重)を指摘されたら? その意味とリスク

一方、BMIが18.5未満の低体重と判定された場合も、軽視できない健康リスクが存在します。痩せていること自体を健康と捉えがちですが、適切な体重を下回ることは、体が十分な栄養を得られていない、あるいは筋肉量などが不足している可能性を示唆します。

BMI低値が関連する主な健康リスク

若い世代では、過度なダイエットや偏食による低体重が見られることがあり、将来的な健康問題(骨粗鬆症など)のリスクを高める可能性があります。高齢者では、食欲不振、栄養吸収能力の低下、筋肉量の減少などが原因で低体重になることがあり、転倒や寝たきりのリスクを高めるなど、QOL(生活の質)に大きく影響します。

BMI異常を指摘された場合に次に考えるべきこと

健康診断でBMIが普通体重の範囲外だったとしても、その数値だけで特定の病気であると診断されるわけではありません。BMIはあくまで体格の一つの指標です。しかし、異常を指摘された場合は、ご自身の健康状態を見直す良い機会と捉えることが重要です。

医療機関への相談

BMI異常が指摘された場合、特に他の検査項目(血糖値、血圧、脂質など)にも異常がある場合は、医療機関(かかりつけ医や健康診断を受けた医療機関など)に相談することをお勧めします。医師はBMIだけでなく、他の検査結果、問診で得られる情報(食習慣、運動習慣、既往歴、家族歴など)を総合的に判断し、健康状態をより詳しく評価します。

個人の状態に応じた医学的なアドバイスや、必要であれば管理栄養士による栄養指導、運動指導なども受けることができます。自己判断で無理な減量や増量を行うのではなく、専門家の助言を得ることが安全かつ効果的です。

日常生活での対策

医療機関への相談と並行して、または数値が軽度な場合は、ご自身で日常生活を見直すことも重要です。

まとめ

健康診断で示されるBMIは、ご自身の体格が健康リスクとどのように関連しているかを知るための重要な手がかりです。BMIが高すぎる場合も低すぎる場合も、それぞれ異なる健康問題のリスクが考えられます。

BMIの数値に一喜一憂するのではなく、それが現在の健康状態の一側面を示していることを理解し、他の健康診断の結果やご自身の自覚症状と合わせて総合的に判断することが重要です。もしBMIに異常が指摘された場合は、これを機会に食生活や運動習慣といった生活習慣を見直し、必要であれば医療機関の専門家に相談することをお勧めします。ご自身の健康を守るための一歩として、BMIの結果を有効に活用してください。